投稿

2月, 2009の投稿を表示しています

LaTeX メモ - 数式の区切り記号の高さ

イメージ
このエントリは,「 LaTeX メモ - 数式における「|」 (縦線, vertical bar)の扱い(その2) 」の内容に続くものである. LaTeX では, \left , \right  と区切り記号を組み合わせることにより,(それによって囲まれる)式の高さに合わせてその区切り記号の高さを調節することができる.この機能は非常に便利なのであるが,たとえば長い式を2行に渡って折り返さなければならない場合など,予期するようには \left , \right が機能しないことがある.こうした場合,明示的に区切り記号の高さを \bigl / \bigr , \Bigl / \Bigr , \biggl / \biggr , \Biggl / \Biggr によって調整したほうがよいことがしばしばある.今回のエントリでは,このような,区切り記号の高さを明示的に調整したほうがよい場合について書いてみたい.なお,例によって,以下では amsmath パッケージを使用しているとする. \left とその直前のシンボルの間にスペースが入る場合 LaTeX における数式では,各記号のタイプに応じて,記号の間に自動的にスペースが挿入されることがある.この具体的なメカニズムについては TeXbook の18章や LaTeX Companion の 8.9.1 節などをご覧頂きたいのであるが,このようにして挿入されるスペースが余計な場合がある.たとえば,ある関数 H について,H(1/2) という数式を LaTeX で書くとする. 図1 このとき,図1 の上の式のように, \left を使うと,H と \left の間に \thinmuskip   ( \, ) の分だけスペースが挿入されてしまい,数式の出力が間延びしたものになってしまう.このような場合は,図1 の下の数式のように \biggl / \biggr 等を使い,明示的に区切り記号の高さを指定した方がきれいな出力が得られる. \left , \right が必要以上に区切り記号を高くする場合 \left , \right は,それによって囲まれる数式の最も高いものにあわせて区切り記号を高くするため,それが必要以上に高くなってしまう場合がある.この例として,図2のコードをコンパイルしたものを図3に示す