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10万アクセス突破 -- 有難うございます

このブログを開始したのは2005年7月ですから,かれこれ3年半続けていることになります.しかし,続けていると偉そうに言うほどでもなく,記事数は全部でたった122本しかありません.しかも,今年は非常に忙しかったこともあって,わずか20本しか書けませんでした. それでも,有難いことに,そんなブログでも訪問して下さる方がいらっしゃり,今年の12月に(ページビューではなく)アクセス数が10万を超えました. もちろん世の中にはアクセスが数百万,数千万を超えるブログも多くあり,10万を超えた程度では大したことはないのかもしれません.しかし,それでも本ブログのエントリのような一般受けしない内容で,延べ10万人が訪問してくださったのは本当に有難いことだと思っています.私が仕事その他で書いた文書で,10万人に読んでもらったものは,確実にないだろうと思います. しかし,読んでくださる方に申し訳ないと思うのは,更新頻度が少ないことと,興味が沸かない内容なのではということです.基本的には自分のために書いているブログですが,公開している以上は読まれることも想定しているわけで,これらの点についてはいつも申し訳なく思っています.もう少しどうにかできればと思っているのですが... 私にとって,ブログを書くのは本当に楽しい作業です.その上で,読んで下さる方もいらっしゃるということは,望外の喜びといっても過言ではありません.これからも,できれば一生,細々とでも書いていけたらと思っています. これで今年最後のエントリになりますが,今年も読んでくださって大変有難うございました.よいお年をお迎えください.来年もまたよろしくお願いいたします. 関連エントリ: ブログ開設6周年と21万アクセス突破

野ばら (小川未明)

小さいころの夢は何だったのか,ときどき考えることがある.昔から本を読むことが好きだったので,本を読み,何かを書くような仕事につきたいと子供ごころに考えていたように思う.小学生のころの知識で思いつくそのような仕事といえば,学者や小説家などであろうか.しかし,自分には小説の才能はないだろうという確信みたいなものがあった.もちろん,学者としての才能があるかどうかも疑わしい. しかしそれでも,もし作家になれたとしたら,童話や絵本のようなものが書きたいなと思っていた.恥ずかしながら,大学生のころ,習作のようなものを書いたこともある.アンデルセンの人魚姫の話や小川未明の童話がとても好きで,そんな話が書けたらと考えたのだけれども,もちろんうまくいくはずもない.それ以来,そういった真似事はやっていない. そんなことを思いながら,今日久しぶりに小川未明の童話集を読み返してみた.その小川未明の童話の中でも,「野ばら」という作品にはとても思い入れがある. 「野ばら」では,隣り合う二つの国の国境で,それぞれの国の兵士が一人ずつその国境を警備している.二人は老人と青年である.無聊をかこつ二人はやがて親しくなり,一緒に将棋を指すまでになる. 青年は最初将棋の歩み方を知りませんでした.けれど老人について,それを教わりましてから,このごろはのどかな昼ごろには,二人は毎日向かい合って将棋を差していました. 初めのうちは,老人のほうがずっと強くて,駒を落として差していましたが,しまいにはあたりまえに差して, 老人が負かされることもありました. (中略) 「やあ,これは俺の負けかいな.こう逃げ続けては苦しくてかなわない.ほんとうの戦争だったら,どんなだかしれん」と老人はいって,大きな口を開けて笑いました. 青年は,また勝ちみがあるのでうれしそうな顔つきをして,いっしょうけんめいに目を輝かしながら,相手の王さまを追っていました. 小川未明の童話は,ありありとその情景が目に浮かぶような視覚的なものが多いのだが,「野ばら」のこの場面もそうである.そして,私がこの場面で思い出すのは,将棋が唯一の趣味だった祖父と,その祖父に将棋の手ほどきを受けた小さい頃の私である. いまでも,祖父が,節ばった太い指で器用に将棋の駒をつまみ,動かしていた情景をときどき思い出す.祖父は将棋が強く,最初のうちは歯が立たなかった.私は負