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「好きにならずにいられない」と若者への寛容

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昨日の note に書いてみた内容で,思ったことがあったのでここに書いてみたい. エルビス・プレスリーに,「Can't Help Falling in Love」(邦題「好きにならずにいられない」)という名曲がある. Elvis Presley - Can't Help Falling In Love (Audio) - YouTube この曲の最初の部分は以下のようなものだ: Wise men say only fools rush in But I can't help falling in love with you (拙訳) 賢明な人たちは言う,馬鹿だけが猪突猛進するのだと それでも僕は,君のことを好きにならずにいられない この曲には個人的には色々な思い出があって,大部分ははっきり言えば恥ずかしい思い出である.それは,賢明な大人たちから見れば,失笑するような思い出なのだろう. ちょっと前に,大学を四か月で退学して,起業するという若者がネットで話題になった.以前ブログにも書いた( 心に残る言葉 - 「臨床教育学入門」(河合隼雄)から  )のだが,こういう若者に対しては,我々大人は,河合隼雄先生のおっしゃるように,「壁」になるべきだとは思う.実際,はてなブックマークなどでも,そういう賢明な大人たちで溢れていた.しかし一方で,たとえ愚かであっても「好きにならずにいられない」のは若者の特権だ. 自らのことを振り返ってみれば,おそらくほとんどの人が,若いころには,赤面するような愚かなことをやってきたことに思い至るだろう.そして,そういう愚かな自分を,辛抱強く見守ってきた大人が周りにいたのではないだろうか.思えば私も,そういう方々のおかげで何とかここまで生きていくことができている. そんな愚かな若者であった私も,いつの間にか年を取り,愚かな若者に苦言を呈する立場になってしまった.はた目にはそれは,「賢明な人たち」の仲間入りしたということになるだろうか. 私は,自分のことを棚に上げてでも,若者に対して,ある種の「壁」にならなければならないのだろう.しかしそれでも,単なる壁ではなく,忍耐と寛容と応援の気持ちだけは持っていたい.「好きにならずにいられない」若者の先にしか未来はないと思うからだ.