投稿

2月, 2010の投稿を表示しています

LaTeX メモ - ディスプレイスタイルの数式について

イメージ
まとまりがないけれども, \displaystyle に関することについて聞かれたことがあったので,ここにメモしておきたい. \displaystyle と \limits , \nolimits については改めてまとめて書いたほうがいいかもしれない.なお,下記では amsmath パッケージを使っていることを仮定する. 指数部に \sum を使う場合 LaTeX において,行中に書くことを想定したテキストスタイルの数式 ($ ... $ で囲まれた数式) は,いまひとつ見栄えが良くない.そこで,数式を強制的にディスプレイスタイルにする \displaystyle というコマンドがよく使われるが,これを使えば必ず美しい数式が書けるというものでもない. たとえば,変数 x のべき乗について,その指数部分に,和 (summation) 記号 \sum を使う場合を考えてみる.これを普通に LaTeX で書くと,図1のようになる. 図1 私はこれで問題ないと思うのだが,範囲を表す式(「 j = 1 」と「 n 」の部分)を \sum の上下に書けないか,つまり,ディスプレイ数式のように書けないか,という質問があった.この場合,単純には \displaystyle を使って強制的にディスプレイスタイルの数式にすればよいように思える.しかし,これではバランスが良くない(図2参照). 図2 こういうときには, \limits や \nolimits  を使って範囲を表す式を制御するほうがよい(図3). 図3 分数を使う場合 テキストスタイルの数式で,見栄えの良くないものの一つに,分数式( \frac ) がある.典型的な例として,たとえば,( \pmatrix  などを用いて)行列の要素に分数式を使うような状況がある(図4). 図4 そこで,強制的に \displaystyle を使うことが考えられるが,amsmath パッケージでは,特に,ディスプレイスタイルの分数式として, \dfrac というコマンドがある.これは, \displaystyle\frac と同じ働きをする.ディスプレイスタイルにする数式として,他にも \dbinom などがある. しかしながら, \dfrac は,単純に分数式をディスプレイスタイルにするだけなので,前後の行の行

スタンドバイミー (映画,本)

イメージ
(いろいろとネタばれがあるので,映画や原作を見てない方はご注意ください) Stand By Me (trailer) - YouTube “I just wish that I could go someplace where nobody knows me.” 私が偏愛する映画(原作も)の一つに, Stand By Me  がある.これについては以前,このブログに書いたこともあるのだけれども ( Stand by me (スタンドバイミー) ),あまりまとまったことは書いていないので,新たにエントリにしてみたい. Stand By Me は,郷愁を呼び起こすような少年時代の友情を描いた映画としては,最も有名なものの一つではないだろうか.だが,そのストーリーは,少なくとも表面的に見れば,非常に単純である.ゴーディ,クリス,バーン,テディの4人の少年が,ふとしたきっかけで,事故死した少年の死体を探しに線路伝いの旅に出るというものである.では,このような映画が,私も含めて多くの人の心をとらえて離さないのはなぜだろうか. この映画のテーマをやや乱暴にまとめるとすれば,死と青春(あるいは愛)という,対照的な二つのものになるだろう.そして,前者に比重があると思われるのがスティーブン・キングの原作であり,後者に比重があるのが,映画スタンドバイミーであると思われる.それは,原作のタイトルが「The Body (死体)」であり,映画のタイトルが「Stand By Me」であるということに象徴的に表されている.そして,映画においても原作においても,その二つのテーマが,死体を捜しに行く少年たちの旅によって互いに橋渡しされているのである. 映画 Stand By Me では暗示的に,また,原作ではやや強く,死というテーマは表現されているように感じられる.死という言葉が刺激的に過ぎるのならば,人生と言い換えてもいいかもしれない.そのようなテーマは,そもそも,死体を捜しに線路伝いに旅していくというストーリーによって端的に表されている.すなわち,線路の持つイメージもあいまって,少年4人の旅は,(最終的には死に向かっていくという)人生を表現するものではないかということは,おそらく誰しもが思うことだろう. しかしながら,この映画における上の二つのテーマの表現は,それほど単純なものではない.まず,こ