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Guy Steele Jr. (ガイ・スティール Jr.)について

最近,天才に関する記事と,ハッカーに関する記事を読み,Guy Steele Jr. (ガイ・スティール Jr.) のことを思った.Guy Steele  については,ちょっとしたことではあるがいつも思い出すことがあるので,散漫ではあるけれども,それについてここに書いてみたいと思う. Guy Steele Jr.  はアメリカの計算機科学者で,Scheme の研究開発や,「Common Lisp: the Language」などの著作で知られている.その Guy Steele と天才(あるいは,コンピュータサイエンスにおける才能)ということでまず思い出すのは,東大の萩谷先生の以下の記事である. http://nicosia.is.s.u-tokyo.ac.jp/pub/essay/hagiya/h/tensai 萩谷先生らしく,Knuth まで一刀両断する痛快なエッセイである.なお,上記の記事も含めて, 萩谷先生のウェブページ からその他のエッセイも読むことができ,これらも非常に興味深いので,ぜひご覧いただければと思う. このように高く評価される Guy Steele であるが,私が Guy Steele についていつも思い出すのはそういうことではなく,彼が執筆した Common Lisp the language (第二版は  CMUのサイト で読むことができる)の謝辞にある,二つの短い文章である. Common Lisp the language 第一版 (1984) の謝辞の最後は,以下のように締めくくられている.  Most of the writing of this book took place between midnight and 5 A.M. I am grateful to Barbara, Julia, and Peter for putting up with it, and for their love.  (拙訳) この本を執筆したのは,大半が深夜から朝の5時にかけてであった.それに対する忍耐とその愛について,バーバラ,ジュリア,ピーターに感謝する. この文章が,1989年の第二版では,以下のようになっている. Most of the writing of this book took place between 10 P.M. and

永遠の抱擁

National Geographic は,私がいつも楽しみに読んでいるサイトの一つである.そこで,以下のようなエントリがあり,思うところもあったので,このブログに書いてみたい. Ancient Cemetery Found; Brings "Green Sahara" to Life http://news.nationalgeographic.com/news/2008/08/080814-sereno-sahara-missions.html 上記記事によれば,古生物学者 Paul Sereno の研究チームが,恐竜の化石を探している最中に,サハラ砂漠で最大で最古の墓地を発見したという.上記の写真は,その中の一つに墓にあった,女性とその子供二人の骨格である.この三人が亡くなったのは,5300年以上前であるとみられる.また,この骨格の下には花粉の残存物があったことから,花を敷き詰めた上に埋葬されたと考えられている.研究チームは,この墓の遺体を「Stone Age Embrace」(石器時代の抱擁)と呼んでいるということだ. 上記エントリを読んで,以前 National Geographic には以下のような記事があったのを思い出した.こちらの方が有名かもしれない.海外ではブログ等でいろいろと言及されていたので. Photo in the News: Skeleton "Valentines" Won't Be Parted http://news.nationalgeographic.com/news/2007/02/070213-bones-photo.html この,互いに抱き合って埋まっていた二つの骨格は,およそ5000年前に亡くなった二人の若者のものであるということくらいしか知られていない.しかしながら,発掘されたのが2007年のバレンタインデーの直前であり,また,発掘された場所のマントヴァは,ロミオとジュリエットの舞台となったヴェローナのほど近くであることから,これらの骨格は恋人同士のものであると想像されて,世界中にロマンティックな感動を引き起こした.これらの二つの遺体は, 「Eternal Embrace」(永遠の抱擁)と呼ばれることになった. いずれの写真を見ても,まずは死ということについて考えさせら