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LaTeX メモ ― AUCTeX における AMS-LaTeX パッケージ等の初期設定

論文などで LaTeX ファイルを編集するときは, emacs+AUCTeX+RefTeX という組合せが最強だと思っている.私はキーボード派なので,マウスを多用する LaTeX 統合環境はどうも趣味に合わない. AUCTeX と RefTeX の使い方については,このブログで簡単なチュートリアルを書いてみたいと思っているが,なかなか時間がない.そこで今回は,ちょっとしたネタを書いてみたい.なおここでは, emacs で既に AUCTeX の設定は完了しているものとする.AUCTeX のインストール,設定,簡単な使い方については, AUCTeX - TeX Wiki  などを参照されたい. このエントリを書く動機は,最近,AUCTeX における AMS-LaTeX パッケージ  (AMS-LaTeX の簡単な説明については, AMS-LaTeX - TeX Wiki  などを参照)について質問があったことである. 質問の意図としては,もともと AUCTeX にはさまざまな (LaTeX) style が, /usr/local/share/emacs/site-lisp/auctex/style などにインストールされている.そこには amsmath.el , graphicx.el などがあり,それを使うにはどのように emacs の初期設定ファイル(以下では .emacs  とする)を設定すればよいか,ということである. 当初はその質問を不審に思い,特殊な設定をしなくても使えているよ?と思ったのだが,確かに AUCTeX の必要最小限の設定では,amsmath パッケージなどにはうまく対応できないようだ.たとえば, \usepackage{amsmath} している LaTeX ファイルに対して,emacs 上の AUCTeX モード (LaTeX-mode) で C-c C-e (insert environment) しても, align などの,amsmath パッケージ特有の環境が補完に出てこない.私は AUCTeX の設定を継ぎ足し継ぎ足しやってきたので,このことに気づかなかった. しかし,amsmath パッケージを用いた LaTeX ファイルを,AUCTeX で編集する場合の初期設定については,ネットではどうもあまり見当たらないようだ.

キリマンジャロの雪 (ヘミングウェイ)

翻訳調がどうも好きではないので,私はあまり外国文学を読まない.それでも何人かの外国人作家の作品についてはよく読んだ.ヘミングウェイはその一人である.ただ,今となってはその内容もあまり覚えてはおらず,長編以外で記憶に残っているのは,「インディアンの村」,「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」,そして今日エントリにする,「キリマンジャロの雪」くらいである. ヘミングウェイは,おそらくはほとんどの方が,少なくとも名前くらいは聞いたことのある作家だろう.ノーベル文学賞を受賞した,アメリカの代表的な作家であり,「老人と海」などは国語教科書にも採録されている.その作品は何度か映画化され,たとえば「誰が為に鐘は鳴る」のイングリッド・バーグマンは,奇跡のような美しさであった. パパ・ヘミングウェイとも呼ばれ,マーク・トウェインなどとともに,おそらくアメリカで最も愛された国民的作家の一人ではないだろうか.しかし,その生涯が果たして幸せだったどうかは分からない. ヘミングウェイは,最期はうつ病に悩み,猟銃で自殺した.これはヘミングウェイの生涯も原因となっているのであろうが,その父,妹,弟もうつ病で自殺したということであるから,遺伝的なものもあったのではないか. そのせいもあってか,ヘミングウェイの作品には,死と,虚無のにおいがする.特にそれを強く感じる作品の一つが,「キリマンジャロの雪」なのである. 「キリマンジャロの雪」は,有名な以下のエピグラフで始まる. キリマンジャロは標高6007メートル,雪に覆われた山で,アフリカの最高峰と言われている.その西の山頂は,マサイ語で “ヌガイエ・ヌガイ”,神の家と呼ばれているが,その近くに,干(ひ)からびて凍りついた,一頭の豹の屍が横たわっている.それほど高いところで,豹が何を求めていたのか,説明し得た者は一人もいない. キリマンジャロという山の名前はこの作品で有名になったという.特にこの冒頭の一節は,鮮烈なまでに視覚的である.豹が,生きるものとてない雪のキリマンジャロを,一頭で,山頂に向かって登っていく.その姿は厳しいまでに寒く,孤独である.そして,神の家と呼ばれる山頂にたどりついた豹は,そのまま凍えて死んだのであった. この豹は,アフリカに生きているのにも関わらず,何を求めて雪深いキリマンジャロの山頂に,それも一頭で,向かっていったのか.