ノートの書き方

こんな記事がありました:


「ノート検定」学力アップにつながる? 京都市教委が試み (京都新聞) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161126-00000012-kyt-l26


この件に関しては色々と思うところはありますが,はてぶでは否定的な意見が多いようですね.


ところで,この記事を読んで,宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を思い出しました.主人公のブドリは,クーボー大博士に会いたい一心で,イーハトーヴに向かいます.ブドリが大博士の学校を探し当てたのはもう夕方で,しばらくすると,大博士は講義を終えるところでした.クーボー大博士は学生に向かってこう言うのです:


「いまや夕べははるかにきたり,拙講もまた全課を終えた.諸君のうちの希望者は,けだしいつもの例により,そのノートをば拙者に示し,さらに数個の試問を受けて,所属を決すべきである.」学生たちはわあと叫んで,みんなばたばたノートをとじました.それからそのまま帰ってしまうものが大部分でしたが,五,六十人は一列になって大博士の前をとおりながらノートを開いて見せるのでした.すると大博士はそれをちょっと見て,一言か二言質問をして,それから白墨でえりへ「合」とか,「再来」とか,「奮励」とか書くのでした.学生はその間,いかにも心配そうに首をちぢめているのでしたが,それからそっと肩をすぼめて廊下まで出て,友だちにそのしるしを読んでもらって,よろこんだりしょげたりするのでした.


私はこの場面がものすごく好きで,強く印象に残っています.



…と,それだけでは何なので,私のノートの使い方をここに書いてみたいと思います.


私はけっこう長く大学で学生をやっていましたが,そのとき愛用していたのが,大学生協で売っていたこのノートです.


DN-30S3 | COOP文具カタログ - デザインノート A4サイズ
http://bungu.univcoop.or.jp/dn-30s3/


3mm方眼なので,きっちりとノートを取りたいときや図やグラフを描きたいときなど重宝しました.大きさも,普通の大学ノートのようなB5サイズではなく,A4なので,がっつりとノートを使うことができます.


それから社会人になり,より効率よく仕事をする必要が出てきたり,自分なりの情報管理法などを試行錯誤したりした結果(これについてはそのうち簡単にブログに書きたいと思ってますが),結局,普通のB5大学ノートに落ち着きました.スケジュール帳,手帳なども色々と試したのですが,やはり大学ノートが一番です.メーカーにこだわりなく使っており,普通は予算でまとめて購入してますが,コンビニで買うこともあります.


ペーパーレスにしようと頑張ったこともあるのですが,やはり創造性が必要になる作業では,鉛筆(シャーペン)なりペンなりで,ノートに手で書く過程が必須です.そして,思いついたときに手軽に書けること,携帯できること,どこでも入手できることなどを考えると,B5大学ノートになってしまいます.手帳は小さすぎるんですね.


そして,私は何でもノートに書きます.思いついたことやちょっとしたメモ,絵や図を描いたりもしますし,計算を書いたり議事録などもノートに書きます.そして,必要なものだけテキストファイルに書き写して保存します.このような,テキストファイルに転載する過程も,思考の整理につながります.


とにかく思考の補助ツールとして使っているので,思考を制約しないために,きっちりと書くことはしません.スペースを贅沢に使って,自由に何でも書きます.なので,他人から見ると,勿体ない使い方をしているように見えるようです.しかし,こういう使い方ができるのも,大学ノートが安いからであって,スケジュール帳や手帳などではこんな使い方はできないでしょう.


それに,スケジュール帳や手帳だと,欄の用途が指定されていることがあって (たとえば「今月の目標」とか),それがいいという人も多いのでしょうが,私は苦手でした.思考が型にはめらめるような気がして.一方で,私のノートの取り方は,スケジュール管理には適していません.なので,スケジュールは別のやり方で管理しています.これもそのうち書きたいと思いますが.


また,紙のものは気軽にノートに貼り付けます.領収書,レシート,パンフレット,その他,せいぜい2, 3枚程度の各種資料などですね.必要だと思えば,その後スキャンして保存します.また,必要ならば,ノートの該当ページを破りとったりするのも気にしません.


そして,基本的にはノートは読み返しません.ノートに書く過程で記憶に定着しますし,どうしても必要なものはテキストファイルに転写します.


ただ,多少シャーペンにはこだわっています.私が愛用しているのは,以下のものです.


グラフ1000(フォープロ)|商品紹介|ぺんてる株式会社
http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/graph1000/


握り心地や書き心地が最高で,なかなか他のシャーペンを使う気にはなりません.その代わり,値段が一本1000円と,普通のシャーペンより高いのですが.これも,予算でまとめ買いします.ちなみに,シャーペンの芯の濃さはB一択ですね.



…とまあ長々と買いてきましたが,要は,私のノートの使い方は実は裏紙などで十分なんですね(実際,裏紙をまとめて綴じて,ノートがわりに使ってる人もいますね).ただ気持ちの問題で,ノートを使うのは,ノートに書いてると仕事している気になるから,裏紙だとバラバラになるから,紙を貼り付けてもしようがないから,また,多少は人の目を気にして,などの理由が挙げられるでしょうか.


というわけで,私のノートの使い方は,ノート検定なら真っ先にダメ出しされそうです.クーボー大博士に,「奮励」などと言われるレベルでしょうか(苦笑).





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