ブログ開設12周年と,今後ブログに書いていきたいこと

他にネタはないのかと読者から叱責を受けそうではあるが,恒例のエントリである.いやもちろん,書いてみたい話は他にもあるのだけど,時間もないし,それを書くにしても,とくにかくこのネタを書かないと,次にいけないような気がするので….


それはともかく,本ブログもとうとう12周年である.


日付: 2017/06/18 8:03
件名: 祝ブログ開設12周年!


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           ブログを開設してから、もうすぐ12周年!!
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ウェブリブログに登録してから、あと2日で12周年になります。

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この12年間にあなたのブログで生み出された訪問回数は・・・

    487439 件 になります。


なんともう,半年前に送られてきたメールである.


いつも同じような感慨を受けるのであるが,月日が経つのは本当に早いものだ.本ブログも,とうとう干支が一回りしてしまった.そして今年は,個人的には高低差がかなり大きい年だった.ここ5年くらいでは,もっとも激動の一年だったように思える.


そんな年でもネットは続けてきたし,何度も言っているように,ネットで私が最も大事にしたいのは,本ブログであると思っている.ということで,この恒例エントリを書くときには,その理由は何か,ということをぼんやりと考える.それに関して,今回のエントリでは,詩人の文章について,まとまりなく書いてみたい.


たいていの詩人は,詩とは何か,なぜ詩を書くか,といった本や文章を書いている.谷川俊太郎などはその最たるものだ.それは,詩人が,詩というものに真摯に対峙し,そして格闘しているからであろう.そして,私は,詩は分からないけれども,詩人のそうした文章を読むのがとても好きだ.


ここでは,そうした文章の例として,リルケの「若き詩人への手紙」(高安国世訳)から引用したい.


Wikipedia のリルケの項によれば,リルケは多くの手紙を書いたそうである.このことは,私にとっては漱石を連想させ,リルケを慕わしいもののように思わせる.


「若き詩人への手紙」は,リルケと,詩人を志す若者フランツ・カプスとの間での手紙のやりとりをまとめたものである.この作品では,芸術とは何か,人生とは何か,そして,詩とは何かといったことに対する,リルケの真摯な姿勢や考え方がまとめられている.それは,詩というものを,おそらく命を削るかのように彫琢してきた,リルケという詩人にしか書けないものである.


以下に,その手紙から一部を引用してみる.カプスが自らの詩の批評をリルケに乞うたとき,リルケは,その手紙で以下のように答えたのであった.


あなたは外へ眼を向けていらっしゃる,だが何よりも今,あなたのなさってはいけないことがそれなのです.誰もあなたに助言したり手助けしたりすることはできません,誰も.ただ一つの手段があるきりです.自らの内へおはいりなさい.あなたが書かずにいられない根拠を深くさぐって下さい.それがあなたの心の最も深いところに根を張っているかどうかをしらべてごらんなさい.もしもあなたが書くことを止められたら,死ななければならないかどうか,自分自身に告白してください.何よりもまず,あなたの夜の最もしずかな時刻に,自分自身に尋ねてごらんなさい,私は書かなければならないかと.深い答えを求めて自己の内へ内へと掘り下げてごらんなさい.そしてもしこの答が肯定的であるならば,もしあなたが力強い単純な一語,「私は書かなければならぬ」をもって,あの真剣な問いに答えることができるならば,そのときはあなたの生涯をこの必然に従って打ち立てて下さい.


リルケは,カプスに,自らを深く内省せよ,そして,もし詩を書かなければ死ぬしかないとまで思うのなら,そのときにこそ詩人になればよいと書くのである.


自らの人生や仕事を顧みたときに,リルケのこの言葉に戦慄しない読者がいるだろうか.それは,心に染みわたる言葉といった生易しいものでなく,まさに読む者の心を突き刺し,深くえぐるかのようである.これこそ詩人の文章であろう.



そうして,私は思うのである.私は,次の12年もやはりこのブログを続けていたい.では,私は何を書いていくべきだろうか.


臆面もなく言えば,私はこのブログでは,自分の中にある,そして皆ももちろん持っている,いわば愛に寄り添うような内容を記録していきたい.


12年前は,ブログは,一人ひとりが発信できるメディアとして,希望をもって考えられていた.しかし今はどうだろう.いわゆるアフィブログやまとめブログなど,ゴミのような内容で溢れかえるようになってきた.そして,年々その状況は悪くなってきているように思える.もちろん,それもこの地獄のような世の中の,単なる一つの側面に過ぎないのかもしれないが.


なお,私はもちろん自分のことを高邁な人間とは思っていない.残念ながら,どちらかと言えばゲスな人間に分類される自覚はある.そういう意味では,現在のクズなネットに加担する,いわば加害者のような存在かもしれない.


だからこそ,私がネットで最も大事にしたいこのブログで,ささやかながらも,自らにある灯火のような思いをつづっていきたいと思うのだ.そしてそれが,ろうそくの火のように伝わっていくことがひょっとしてあったなら(そう思うことはおこがましいけれども),私がこれまで受けてきた愛に対して,わずかでも報いることができたと自分の人生で思うことができるだろう.


というわけで,ほとんど更新ができていない本ブログですが,次の12年も続けていきたいと思っています.よろしくお願いします.




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