本をあまり読まない中高生に薦めたい10作品(その1)
学生の皆さんはそろそろ夏休みですね.そこで,本を少しでも読んでもらおうと,某ブログ界隈では,中高生にすすめる作品リストというネタが一部で盛り上がっているようです.面白そうなので,私もエントリを書いてみることにしました.
方針としては,普段あまり本を読まない中高生に対して,読書に興味をもってもらえるような作品(なおかつ,似たようなブログ記事で選ばれていないもの)を10作選んでおすすめするというものです.したがって,必然的にストーリーが面白く,難解でなく,かつ比較的短い作品が対象になるでしょう.
しかしながら,普通に考えて,10作品程度でおさまるはずはないので,ぱっと思いつくものを優先し,今後折に触れ追加していくということにしたいと思います.
では,以下に私が中高生にすすめる10作品をリストしてみたいと思います.特に,あまり本を読まない生徒さんを対象にしているつもりですが,適当かどうかは分かりません.また,アフィリエイトを入れると文字数制限を越えてしまったので,2部構成にしたいと思います.(その(2)はここ)
(1) 我輩は猫である
あまりにも有名で,作品の解説は必要ないでしょうが,最後まで読んだことのある人は少ないのではないでしょうか.漱石の漢籍や欧米文学の素養が,衒学的かつ落語的なユーモアで語られ,とにかく面白いです.三四郎をおすすめしようかと悩みましたが,本をあまり読まない中高生を対象とするのであれば,これのほうがいいのではないでしょうか.そして,漱石の作品の中で,私が最も繰り返し読んだ本はこの作品かもしれません.
(2) どくとるマンボウ青春記
北杜夫の作品として,どくとるマンボウシリーズは有名ですが,その中で最も有名なのは,「どくとるマンボウ航海記」でしょう.しかしここでは,北杜夫の入門として,まずこの作品をおすすめしたいと思います.バンカラな旧制高校で著者が過ごした青春時代が,生き生きと,抱腹絶倒な形で,かつノスタルジーを呼び起こすように描かれています.
したしもちろん,著者が過ごした青春時代は,精神的には必ずしも明るいばかりではありませんでした.北杜夫の自伝的作品については,そのうちこのブログても書いてみたいと思います.
(3) 宇宙衛生博覧会
親としては,子供の健全な育成を願うものですが,しかし自らの中高生時代を振り返ってみれば,健全なる時代を過ごしてきたと胸をはれる大人は(ほぼ)いないでしょう.子供は,後ろ暗いもの,エロ・グロ・ナンセンスにはどうしたって興味をいだくものです.遅かれ早かれそうなるのですから,中高生に筒井康隆をすすめても,それほど問題はないでしょう.むしろ,それで読書の面白さに目覚めたのなら,メリットの方が大きいと思われます(と強弁してみる).
SF やスラップスティックの巨人,筒井康隆の真骨頂が現れている作品の一つがこの短編集です.正直,「問題外科」を中高生にすすめるのは気が引けますが,「顔面崩壊」「関節話法」などはまさに傑作(怪作?)としかいいようがありません.
(4) 鳴門秘帖
吉川英治の歴史長編小説の面白さには定評があります.巻を措く能わずといった言葉は,吉川の小説のためにあると言っても過言ではありません(過言かも).本を読まない中高生でも,たとえば「三国志」など,一旦読み始めれば夢中になると思いますが,ここではあえてこの作品をすすめてみたいと思います.三国志よりは短いですし,何と言っても吉川英治作品の面白さのすべてはこの作品にあります.青空文庫でも読めます.
(5) モッキンポット師の後始末
私の好きな井上ひさしの作品の入門として何を挙げるか考えると,まず思いつくのがこの作品です.これも爆笑するような作品なのですが,救い,許し,愛を希求する物語でもあります.これを面白いと思ったら,次は「四十一番の少年」などにチャレンジして,井上ひさしの違う一面も見てもらいたいと思います.
(その(2)に続く)
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