私が47都道府県で連想する47作

以下の記事を読んで,非常に興味深く感じました.


47都道府県を象徴する47本の映画
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20140518


そこで,文芸作品で同じようなことをしてみたくなったので,エントリを書くことにしました.ここでは,都道府県それぞれについて,私が今までに読んできた作品の中から,ぱっと頭に浮かぶようなものを選ぶといった選択基準で,作品を選んでみたいと思います.


ただ,私が読む作家や時代には偏りがあって,特に,新しい作家についてはほとんど読んでいないということを言っておかなくてはなりません.また,それほど網羅的に読んできたとも言いがたいところがあります.したがって,いわゆる独断と偏見による選択となるのはご容赦いただければと思います.その結果,各都道府県を象徴するとか代表するとかはとても言いがたいリストになったと思うので,タイトルも,「連想する作品」ということにしました.


では,リストをあげてみたいと思います.


  • 北海道 … 井上ひさし 「四千万歩の男」(アイヌ篇)
  • 青森県 … 太宰治 「津軽」
  • 岩手県 … 柳田國男 「遠野物語」
  • 秋田県 … 戸川幸夫 「秋田犬物語」
  • 山形県 … 藤沢周平 「たそがれ清兵衛」
  • 宮城県 … 山本周五郎 「樅ノ木は残った」
  • 新潟県 … 鈴木牧之 「北越雪譜」
  • 福島県 … 高村光太郎 「智恵子抄」
  • 茨城県 … 吉村昭 「桜田門外ノ変」
  • 栃木県 … 由井正臣 「田中正造」
  • 埼玉県 … 三島由紀夫 「美しい星」(本ブログのエントリ
  • 東京都 … 夏目漱石 「三四郎」
  • 千葉県 … 山本周五郎 「青べか物語」
  • 神奈川県 … 有島武郎 「一房の葡萄」
  • 静岡県 … 川端康成 「伊豆の踊り子」
  • 山梨県 … 太宰治 「富嶽百景」
  • 群馬県 … 森村誠一 「人間の証明」
  • 岐阜県 … 島崎藤村 「夜明け前」
  • 長野県 … 宮本輝 「避暑地の猫」
  • 愛知県 … 清水義範 「蕎麦ときしめん」
  • 三重県 … 坂口安吾 「桜の森の満開の下」(本ブログのエントリ
  • 富山県 … 宮本輝 「蛍川」(本ブログのエントリ
  • 石川県 … 室生犀星 「抒情小曲集」
  • 福井県 … 水上勉 「越前竹人形」
  • 京都府 … 芥川龍之介 「六の宮の姫君」
  • 滋賀県 … 山田風太郎 「甲賀忍法帖」
  • 大阪府 … はるき悦巳 「じゃりン子チエ」(漫画)
  • 奈良県 … 井上靖 「天平の甍」
  • 兵庫県 … 水上勉 「櫻守」
  • 和歌山県 … 有吉佐和子 「紀ノ川」
  • 岡山県 … 横溝正史 「本陣殺人事件」
  • 広島県 … 原民喜 「死のなかの風景」
  • 鳥取県 … 志賀直哉 「暗夜行路」(関連エントリ
  • 島根県 … 有吉佐和子 「出雲の阿国」
  • 山口県 … 司馬遼太郎 「花神」
  • 高知県 … 田宮虎彦 「足摺岬」
  • 香川県 … 壺井栄 「二十四の瞳」
  • 徳島県 … 吉川英治 「鳴門秘帖」
  • 愛媛県 … 夏目漱石 「坊ちゃん」(本ブログのエントリ
  • 福岡県 … 福永武彦 「廃市」
  • 佐賀県 … 隆慶一郎 「死ぬことと見つけたり」
  • 長崎県 … 芥川龍之介 「奉教人の死」
  • 大分県 … 菊池寛 「恩讐の彼方に」
  • 熊本県 … 夏目漱石 「草枕」
  • 宮崎県 … 松本清張 「西郷札」
  • 鹿児島県 … 芥川龍之介 「西郷隆盛」
  • 沖縄県 … 灰谷健次郎 「太陽の子」


以下,雑多なコメントです.


  • 福島県で智恵子抄を選んだのは,智恵子の出身地であり,阿武隈川,安達太良山など福島ゆかりの地名が出てくるからです.

  • 東京を舞台とした作品は山ほどありますが,一冊選べといえば,三四郎でしょうか.

  • 千葉県は,滝沢馬琴「南総里見八犬伝」にしようかと迷いました.私はこの作品が好きで,岩波のハードカバーで全巻揃えています.
  • 京都は,川端康成「古都」にしようかとだいぶ迷いました.

  • 大阪だけ漫画です.もちろん,谷崎潤一郎「細雪」とか山崎豊子「暖簾」(本ブログのエントリ)とかも思いつくのですが,やはり大阪といえば「じゃりン子チエ」ですよね.

  • 兵庫県は,志賀直哉「城の崎にて」にしようかとだいぶ迷いました.高校のときの国語の先生が,この作品について熱く語っていたことを思い出します.

  • 母が有吉佐和子や宮尾登美子のファンだったので,いろいろと実家にあった本を読みました.男と女の考え方は違うのだなあと初めて思ったのもその読書体験かもしれません.有体に言えば,それ以来どうも女性作家には苦手感があります.

  • 広島のチョイスですが,原民喜といえば「夏の花」三部作でしょうが,私は上にあげた作品のほうがしみじみと心に残りました.

  • 高知県では,あえて「竜馬がゆく」をあげませんでした.「足摺岬」はもう20年以上前に読んだきりで,内容もさっぱり覚えていませんが,感動した記憶だけは残っています.

  • 福岡で福永武彦の廃市を選んだのは,どうしても福永武彦作品を選びたかったというのもありますが,そもそも福岡県は福永武彦の出生地であり,また,映画「廃市」が素晴らしかったというのも理由にあげられます.この映画は,福岡県の柳川市で撮影された,素晴らしいものでした.

  • 鹿児島は,司馬遼太郎の「翔ぶが如く」か林芙美子の「浮雲」にしようかと思いましたが,何となくありきたりのような気がしたので.

  • 沖縄について,灰谷健次郎「太陽の子」を選んだのは,個人的な思い出があるからです.また,灰谷健次郎の死去については,以前本ブログで少しだけ触れました(灰谷健次郎死去



自分の好きな作品を思い起こす作業はとても楽しいものでした.一方,他に作品があったはずだが,思い出せないということも何回かあって,ストレスがたまることもありました.もし思い出した場合は,上記のリストも変更してみたいと思っています.また,上記の作品については,思いいれがある作品ばかりなので,今後おいおいブログにも書いていきたいと思っています.




追記(2014年5月31日)


ふと気づいたのですが,このエントリは,本ブログでの200本めのエントリでした.本ブログは開設からそろそろ丸9年になろうとしているのですが,それで記事が200本というのは少ないほうだと思うのですが,かろうじてこれまで続いたのも,読んでくださる皆様のおかげです.大変ありがとうございます.今後も細々ながら続けていくつもりですので,どうぞよろしくお願いいたします.



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