ブログ17周年と「「晩年」に就いて」、そしてブログの終わり

これが、ウェブリブログで最後のエントリです。最後なので、恒例のブログ開設記念エントリも兼ねてみたいと思います。



以前からアナウンスがあったように、ウェブリブログは2023年1月31日をもって終了します。


ウェブリブログサービス終了(2023/1)のお知らせ: ウェブリブログ事務局
https://info.at.webry.info/202201/article_2.html


そこで先日のエントリに書いたように、Blogger に移転します:


Day in the Life (webry)
https://dayinthelife-web.blogspot.com/


ただ、システムの違いから、Blogger に過去のコメントを移行することはできませんでした。せっかく本ブログにコメントしてくださった皆様には本当に申し訳ございません。どうかご了解いただけますと幸いです。



今後、あと一週間くらいで、Blogger へのリダイレクトを設定します。そうすると、本ブログはもう一切読めなくなると思います。しかし、過去のすべてのエントリは、上記 Blogger のブログで公開しています。




では改めて、本ブログについて振り返ってみたいと思います。


本ブログに初めてのエントリを投稿したのは、2005年7月でした。それから現在まで、17年以上にわたって、ブログを続けてきました。残念ながら、頻繁には更新できませんでしたが…。


執筆時点での本ブログの記録は、以下のとおりです:


  • 公開されたエントリ … 256本
  • 下書き … 63本
  • ページビュー(PV) … 763,958


我ながら記事数は少なく、果たしてこれでブログを継続しているといえるのかと自信がなくなるほどです(苦笑)。しかしPVは、非常に多いとは言えないものの、当初私が予想したものよりは多いものでした。どんなきっかけであれ、私のエントリを読まれた皆様には感謝したいと思います。



また私は、ブログ開始当初から、細く長く続けていくことを方針としました。これは、私の人生における優先事項はリアルでの仕事とプライベートであり、ネットでの活動をメインにできなかったからです。そのため、あまり注目されたくなかったし、また、ネットの話題(特に炎上しているもの)には距離を置こうと考えていました。


結果として、尖った視点を持ったエキセントリックな内容は避け、無難な内容に終始したと思います。そこで、それを物足りなく思った読者も多かったかもしれません。


それでも、私にはブログを書くことがとても楽しかった。上記の制約の上でも、書きたいことは書けたし、それで伝わる方々もいらっしゃったのではないでしょうか。だから17年も続けられたのだと思います。


そのような本ブログのエントリには、一つ一つに私なりに思いを込めましたが、中でも以下のエントリには最も大きな思い入れがあります:


東北関東大震災
https://dayinthelife-web.blogspot.com/2011/03/blog-post.html


この大震災は、間違いなく私の人生でも忘れられない出来事の一つになるでしょう。そのときの思いを記録し、何度でも新たなものとするために、ブログというのはかけがえのない場であると思います。



その一方で、ウェブリブログの終わりに際して、もっといろいろ書きたいことがあったなと残念に思うところはあります。まだまだ紹介したい本は山ほどあるし、また、聖書通読も開店休業状態です。なぜもっと書かなかったのか。やはり後悔に似た思いが頭をよぎるのを避けられません。


そのような悔いについて考えたとき、私は、太宰治による「「晩年」に就いて」(ここでは「もの思う葦」内の文章のこと、なお他にも「晩年」に「「晩年」に就いて」という端書もある)という短い文章を考えてしまいます。



 私はこの短篇集(註:「晩年」という作品集のこと)一冊のために、十箇年を棒に振った。まる十箇年、市民と同じさわやかな朝めしを食わなかった。私は、この本一冊のために、身の置きどころを失い、たえず自尊心を傷(きずつ)けられて世のなかの寒風に吹きまくられ、そうして、うろうろ歩きまわっていた。数万円の金銭を浪費した。長兄の苦労のほどに頭さがる。舌を焼き、胸を焦がし、わが身を、とうてい恢復(かいふく)できぬまでにわざと損じた。百篇にあまる小説を、破り捨てた。原稿用紙五万枚。そうして残ったのは、辛(かろ)うじて、これだけである。これだけ。原稿用紙、六百枚にちかいのであるが、稿料、全部で六十数円である。


 けれども、私は、信じて居る。この短篇集、「晩年」は、年々歳々、いよいよ色濃く、きみの眼に、きみの胸に滲透して行くにちがいないということを。私はこの本一冊を創るためにのみ生れた。きょうよりのちの私は全くの死骸である。私は余生を送って行く。


太宰が「晩年」という短編集を出版したのは昭和11年(1936年)、27歳のときでした。そしてもちろん、太宰はそれからも、39歳のとき自ら死を選ぶまで、数々の名作を世に残したのです。


ひるがえって私自身はどうだろうか。私は、仕事でもブログでもまだ「晩年」のような作品はありません。ただ、年齢を重ねることで、それが馬齢であったとしても、上記の太宰の文章が少しは身に染みるようになってきたように思うのです。少なくとも言えるのは、私はまだ太宰の「晩年」にまで至っていないということでしょう。それが、ブログを始めてから17年たった私の、現在の率直な到達点です。



まだまだ書きたいことはありますが、きりもないので、本ブログではここで筆を擱きたいと思います。


私のエントリを読んでくださった皆様、今まで本当にありがとうございました。


また Blogger でお会いしましょう!







関連エントリ:



コメント

このブログの人気の投稿

LaTeX メモ - 数式における「|」 (縦線, vertical bar)の扱い(その2)

人間はどんなところでも,どんな時でも何歳からでも学ぶことができる

ブログを始めるにあたって - 継続は力

イエスは地面に何を書いていたか

へんろう宿 (井伏鱒二)